うつ・トラウマの参考文献
うつ病 死別体験や事件事故後の辛い症状
このホームページを訪れた方にぜひお奨めしたい本をご紹介します。
このホームページを作成するうえで、非常に勉強させていただきました。
うつについての本
うつの当事者と支える家族・支援者の方むけにお勧めできる本です。
ただしうつを治療中、またはうつで療養中の方にひとつ注意があります。
書籍を読むことは大きくエネルギーを使います。
休職に入りたての、体力が落ちている時に本を読むのはあまりお勧めできません。休職から復帰して、体調のいいときにどちらかひとつを、選んで読んでみるとよいと思います。
「うつ」当事者の方向け
下園壮太先生の著作
うつからの脱出 日本評論社
うつ状態になるわけ、うつからの回復のプロセス、そして休みから復職してからのリハビリ期間を過ごすためのリクラゼーションの方法である「プチ認知療法」がいくつか紹介されています。「プチ認知療法」は自分にあったものを試してみるとよいでしょう。
*プチ『認知療法」は休職から復帰して、リハビリ期間に入ってから試すようにしたほうがよいと思います。落ち込みが激しい時には逆効果になることがあるので注意してください。
今度こそ『うつ』から抜け出す本 大和出版
「うつ」が再発してしまった方、「うつ」がなんとなく長引いてしまっている方お奨めします。回復のために頑張ったほうがいいこと、頑張らなくてもいいことがこの本では明確にされています。せひご一読ください。
うつの支援者・家族の方むけ
水島広子先生の著作
対人関係療法でなおすうつ病 創元社
うつ病に対する効果が実証されている対人関係療法。その第一人者である水島広子先生がうつのメカニズム、家族の接し方、自殺念慮に対する対応の方法について非常にわかりやすく説明してくださっています。
このホームページを作成するにあたり、非常に多くのものを学ばせていただきました。
下園壮太先生の著作
うつ自殺予防マニュアル 河出書房新社
この本では「うつ」の方を支援するにあたり、是非知ってほしいことが書かれています。
本当は辛いのに元気なふりをして周囲にうつの辛さを悟られまいとする行為「表面飾り」。
ストレス解消のつもりではじめた趣味や飲酒がかえってストレスを増幅させて「しまうしがみつき」行為のなど。
一問一答形式になっており読みやすく、うつの方を支える家族、職場の方にぜひお奨めしたい一冊です。
人はどうして死にたがるのか 文芸社
「うつ」の症状である「希死念慮」がなぜでてくるのかを詳細に論じてあります。
「死にたい気持ち」は「うつ」の症状であり、「うつ」であれば誰にでもあらわれてくる症状であり、「うつ」が回復するにしたがって、「死にたい」気持ちも収まってくることを理解してください。
そして、家族の方が「死にたい」と言ったときどうすればいいか?この本にはかなり詳しく対応の手順が書いてあります。参照してください。
事件・事故後のショック症状について
下園壮太先生の著作
愛する人を失うとなぜ死にたくなるのか? 文芸社
事件や事故、死別体験に遭遇したあとの症状心理、またそれらに対しての対処の方法について詳しく非常に詳しく書かれています。
自殺で遺された方へのケアの方法なども述べられています。
平常心を鍛える 講談社+α文庫
事件や事故のあとには心と体に様々な症状が現れます。それはたいがい自然治癒していくものなのですが、まれに症状が固定してしまうことがあります。
症状が固定されてしまうのは二つの理由があります。
ひとつは「噂」や「デマ」、など悪意のある情報に触れてしまい、自責感を増大してしまっているケース。
もうひとつは事故や事件のあとに「疲労」を溜め込んでしまっているケース。
惨事のあとにいろいろな症状が出てくるのは、仕方のないことです。ただし、症状をこじらせてはいけません。
この本は事件や事故に遭遇したあとのリスク、とリスク回避の方法について詳しく説明してあります。
水島広子先生の著作
対人関係療法でなおすトラウマ・PTSD
創元社
事件や事故のあとのショック症状。ショックにあった人を支えるべき人たちが不用意に傷つけたりすると症状をこじらせることがあります。
「人が怖い」「人が信じられない」
ショックのあとに対人ショックが重なってしまい苦しむひとたち。
この本では事件や事故に遭遇してしまった人たちに私たちがどう接すればいいのか?が説かれています。
ASD・PTSDについても一般向けにわかりやすく書いてあります。お奨めです。
トラウマの現実に向き合う
〜ジャッジメントを手放すということ〜 岩崎学術出版社
医療従事者やカウンセラーなど、支援者にむけて書かれた本です。
私たちはトラウマ体験者に対して、先入観と偏見を持ちがちです。
「この人はかわいそうな人だ」とか「大変な試練を乗り越えてきた勇気ある人だ」という思い込みに捉われたりすることなのですが、このようにトラウマ体験者にラベルを貼ってしまうことによって、カウンセリングや治療の場が二重の傷つき体験の場になってしまう・・・
トラウマからの回復とは、トラウマ体験者が「コントロール感覚」を取り戻すことであり、他者や社会との信頼をとりもどすことである・・・・
お奨めの一冊です。
家族の問題など
ここでは、家族がお互いに気持ちよく過ごすためにはどうすればいいのか、お役にたてそうな本をご紹介します。
ホームページを作成するにあたって非常に勉強させていただきました
水島広子先生の著作
自分でできる対人関係療法 創元社
対人関係療法は本来は「うつ」に対しての医学的な治療法です。しかし、人と人との関係に着目するこの療法は人と人とのコミュニケーションを考えるにあたり非常に役にたつものだと思います。
著者の水島広子先生は国内における「対人関係療法」の第一人者です。
うまくいかないコミュニケーションには5つのパターンがあります
@「自分が相手の言いたいことを理解した」という錯覚
A「自分の言いたいことが相手に伝わった」という錯覚
B「遠回し・婉曲な言い回しをしているため、言いたいことが伝わっていない」
C「自分の言いたいことを態度や行動で表現しているため、相手に真意が伝わらない」
D言いたいことを伝えず沈黙してしまう。
これらの理由で行き詰ったコミュニケーションをどう回復していくのか、この本は平易で優しいことばで語りかけてくれます。専門家だけではなく、一般向けのに書かれているので
お奨めです。
対人関係療法で改善する夫婦・パートナー 関係
創元社
夫婦間のコミュニケーションによく見られる事例を中心に扱っています。こちらも一般向けに書かれています。
10代の子をもつ親が知っておきたいこと
紀伊國屋書店
思春期が何のためにあり、一つひとつの言動にどのような意味があるのかということが理解できれば、この時期は子供とともに楽しめる冒険の時期となる・・・・
こんな書き出しからこの本ははじまります。この時期に親子で気持ちよく過ごしていくために、どんな工夫がいるでしょう?
そんなことを思いながら読んでいただけたらと思います。
魚住絹代先生の著作
子供の問題いかに解決するかPHP新書
筆者は法務教官として少年院に勤務、非行少年や非行少女を支援し、現在は大阪にてスクールソーシャルカーとして活躍しておられる方です。
本書では小学生や中学生を中心とした問題行動・非行・不登校などについて周囲の大人たちがどのように接していくべきなのかが平易に記されています。
問題行動を起こしている子供は実はピンチな状況にあること、厳しく接したくなるものだが、実はまず彼らの傷をうけとめ、味方になることから始めること・・・
豊富な事例を通じて、「大人たちはどう考え、どう動けばよいのか」を教えてくれる本です。
不登校 ひきこもり
ひきこもりについての著作
斉藤環先生の著作
私は自身のカウンセリングの修行期間中に斉藤先生の著作に多いに学ばせていただき、またこのHPを作成するにあたっても多くのものを参考にさせていただいています。
社会的ひきこもりPHP新書
10年以上前に書かれた本ですが、ひきこもりの問題を考えるにあたって、この本を超える文献はいまだにないように思います。
ひきこもっている子供に対してどのように考えて接していけばいいのか?親として考えなければならないことは何か?
豊富な治療経験をもつ著者がわかりやすく、説いてくれています。
家庭内暴力に対応するための方法も詳しく書かれています。
子供の不登校に悩む親御さんも是非!
ひきこもり救出マニュアルPHP研究所
ひきこもりの子に接するにあたってぶつかる様々な疑問・トラブルに対して一問一答で具体的に答えてくれています。
「社会的ひきこもり」と一緒にお読みいただくことをお勧めします。
斉藤環・畑中雅子著
ひきこもりのライフプラン岩波ブックレット
*この著作はファイナンシャルプランナーの畑中雅子先生と斉藤環先生との共著となっています。
ひきこもりが長期化し、高齢化した人たちをどう支えていくのか?親も年老いてしまい、援助すること自体が難しくなってしまうケースもあります。
辛いことですが、ひきこもった当事者がこのまま社会復帰できないケースも視野にいれた支援の方法も考えていかなければならないケースもあります。
この本には「様々な社会福祉制度が紹介されているほか、ファイナンシャルプランナーの畑中雅子先生が、ひきこもり当事者の「ライフプラン」をどう考え、どのように運用していくのかを詳しく解説してあります。
不登校についての推薦図書
小沢美代子先生の著作
上手な登校刺激の与え方ほんの森出版
どちらかというと教員向けの書籍と思いますが、ご家庭で読んでいただいても非常に参考になる文献だと思います。
不登校の始まりから回復に至るプロセスを、前兆期・初期・中期・後期・社会復帰の5つのステップに分類し解説してあります。
不登校に苦しむ子供が上記の5つのステップのうちのどの段階にあるのか?そこでの対応としてどんな対応が適切なのか?という見極めが必要なのです。
そして、不登校からの回復には教師と連携をとることが非常に重要であることも示唆されています。
続上手な登校刺激の与え方ほんの森出版
「上手な登校刺激の与え方」の続編であり、こちらは豊富な事例があります。前著と合わせてお読みになっていただくとよいと思います。